ビブリオ病

ビブリオ病 英名:Vibriosis
対象魚類 サケ・マス類

原因

グラム陰性短桿菌Vibrio anguillarum及びVibrio ordaliiの感染による細菌感染病

症状

遊泳が不活発になり、水中を漂うようになります。体表は黒色化し、発赤がみられます。眼球突出や鰭基部の発赤も見られ、脾臓は腫大し、肝臓に出血斑が現れます。周年発生しますが、初夏から秋の高水温時に発生しやすいです。

予防

昔から、サケ科魚類の伝染病として有名な病気です。水中にビブリオ菌は常在しているので、養殖環境の変化や過密飼育などのストレスで不健康になった魚に感染すると考えられています。病気の予防として、ストレスがかからないような飼育を心がけ、ビタミン剤などで十分な栄養を与えましょう。予防効果の高いワクチンとして、浸漬ワクチンが発売されています。

治療方法

水産用医薬品の経口投与(飼料に添加して投与)が効果的な治療方法です。投薬時は、給餌量を通常の半分位に減らしましょう。塩酸オキシテトラサイクリン(OTC)、オキソリン酸、スルファモノメトキシン(サルファ剤)を有効成分とする水産用医薬品を使用できます。淡水中で養殖している場合は、フロルフェニコールを有効成分とする水産用医薬品も使用できます。ニジマスのみ、スルフィソゾールナトリウムを有効成分とする水産用医薬品が使用できます。経口投与が困難な病魚や稚魚には、スルファモノメトキシンを有効成分とする水産用医薬品を使用して、薬浴させる方法もあります。

治療例(水産用OTC20%「バイオ」NC)

  1. 投薬量は、「魚体重1kgあたり、有効成分として○○mgを1日量として投与します」と決められているので、まず総魚体重を計算します。(平均魚体重×尾数=総魚体重)
  2. 水産用OTC20%「バイオ」NCは、魚体重1kg当たりオキシテトラサイクリンとして50mg(力価)を1日量として投与すると決められています。本剤250mg中に、有効成分オキシテトラサイクリン50mg(力価)含有されているので、総魚体重(kg)×250mg=薬剤必要量(mg)を求めます。
    *1000mg=1g、1000g=1㎏
  3. 飼料の5~10%量の水道水またはフィードオイルに薬剤必要量を溶かし、これらを飼料に混ぜて吸着させます。ただし、このまま給餌すると、薬剤が水中で散逸してしまいます。これを防ぐには、オイルで飼料をコーティングする方法が一般的に行われています。おすすめ方法としては、「ドクターオイルOK」を飼料に0.5%添加するのが効果的です。「ドクターオイルOK」の油脂分が飼料をコーティングするので、薬剤が水中に散逸するのを防ぎます。(MPの場合は、最初に薬剤とマッシュを十分混合し、その後生餌に混ぜて下さい)
  4. 病気の時、魚に投与する餌量は、通常の半分位にして下さい。
    また、治療の効果の有無にかかわらず、本薬剤の8日間以上の連続投与は避けましょう。水産用OTC20%「バイオ」NCの投与は、1日1回です。

本薬剤の使用禁止期間:食用に供するために水揚げする前30日間