ミズカビ病

ミズカビ病 英名:Saprolegniasis
対象魚類 サケ・マス類

原因

卵菌類のSaprolegnia属感染による真菌病。

症状

体表や鰓や鰭に感染し、特に頭部や尾部に綿毛状の菌糸塊が見られます。表皮から筋肉へと菌糸が伸び、浸透圧調節ができなくなり、死亡します。 秋~冬の低水温である産卵期に、ヤマメ、アマゴなどの成熟親魚でよくみられます。種苗生産場においては、死卵で菌が増殖して綿毛状になり、これらが菌糸を伸長させて、周辺の生卵を窒息させます。また、綿毛状の菌糸と卵塊は、金網を目詰まりさせて、水流を妨げます。水流が滞ると酸欠になる場所ができ、受精卵の大量死を招く恐れがあります。

予防

菌は、水中で生息しています。しかし、魚の免疫作用により、普段発病しません。養殖環境の変化で菌が増えたり、傷ついて弱った魚や過密飼育などのストレスで魚の免疫力低下時に、感染すると考えられています。病気の予防として、消毒と清掃を行って、飼育環境を整えてましょう。また、外部寄生虫や取揚げ時に注意し、魚の皮膚に損傷を与えないようにしましょう。病魚を見つけたら、必ず取り除きましょう。

治療情報

平成17年までは、受精卵をマラカイトグリーン溶液(1ppm)に1時間浸す作業を週2回行い、受精卵の消毒作業を行うのが、効果的な治療方法でした。多くの養魚場で用いられ、環境負荷が大きい廃液は、活性炭に吸着させて排出されてきました。しかし、未承認医薬品のマラカイトグリーンは、平成15年7月の薬事法改正に伴い、ふ化場や養魚場での使用が平成17年8月から全面禁止になりました。もし、違反した場合は、三年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金が課されます。現在、卵のミズカビ病防除剤として認められているのは、ブロノポールを主成分とする水産用医薬品だけです。ただし、この廃液も水生生物に対する毒性が強いので、ブロノポールとして50mg/Lで薬浴した場合には3,333倍に希釈してから排水するなどの措置が必要です。ニジマス卵においては,週 2回の過酸化水素(1,000ppm)60分間の処理が水カビ病防除に有効であることが確認されています。しかし、サケやイワナ卵に対して毒性があるので、過酸化水素は全ての魚種に有効ではありません。
また、魚体に症状が出た場合、効果的な治療方法はありませんので、予防をしっかりしましょう。