レンサ球菌症 サケ・マス類

レンサ球菌症 英名:Streptococcicosis
(ストレプトコッカス・イニエ感染症)
対象魚類 サケ・マス類

原因

グラム陽性菌 Streptococcus iniae により引き起こされる細菌感染病です。
ヒラメとアユのレンサ球菌症と同じ原因菌ですが、ブリのレンサ球菌症とは原因菌が異なります。

症状

夏場の高水温時(20℃前後)に問題になる病気です。 外観症状は、腹部膨張、鰭基部の発赤、出血、肛門の拡張、眼球突出が特徴です。 内部症状は、脾臓および腹腔内壁の出血や腸管の炎症が特徴的な症状としてみられます。

予防

ギンザケ養殖では、秋に行われる淡水から海水への馴致時に、本症状で大量死を引き起こすことが知られています。ニジマスにおいては、高水温時に数十g~キロサイズまでの大型個体でも発症するので問題になります。過度の給餌や過密養殖を避けて飼育しましょう。

治療方法

今まで治療薬はありませんでしたが、2009年2月25日に農林水産省から発行された「水産用医薬品の使用について」第22報の中で、淡水中で養殖されているサケ科魚類のレンサ球菌症治療薬として、塩酸オキシテトラサイクリン(OTC)を有効成分とする医薬品が認可されました。本医薬品を投与するのが、現在は効果的な治療方法です。

 

経口投与方法 例(水産用OTC20%「バイオ」NC)

  1. 投薬量は、「魚体重1kgあたり、有効成分として○○mgを1日量として投与します」と決められているので、まず総魚体重を計算します。 (平均魚体重×尾数=総魚体重)
  2. 水産用OTC20%「バイオ」NCは、魚体重1kg当たりオキシテトラサイクリンとして50mg(力価)を1日量として投与すると決められています。本剤250mg中に、有効成分オキシテトラサイクリン50mg(力価)含有されているので、総魚体重(kg)×250mg=薬剤必要量(mg)を求めます。
    *1000mg=1g、1000g=1㎏
  3. 飼料の5~10%量の水道水またはフィードオイルに薬剤必要量を溶かし、これらを飼料に混ぜて吸着させます。ただし、このまま給餌すると、薬剤が水中で散逸してしまいます。これを防ぐには、オイルで飼料をコーティングする方法が一般的に行われています。おすすめ方法としては、「ドクターオイルOK」を飼料に0.5%添加するのが効果的です。「ドクターオイルOK」の油脂分が飼料をコーティングするので、薬剤が水中に散逸するのを防ぎます。(MPの場合は、最初に薬剤とマッシュを十分混合し、その後生餌に混ぜて下さい))
  4. 病気の時、魚に投与する餌量は、通常の半分位にしましょう。また、治療の効果の有無にかかわらず、本薬剤の8日間以上の連続投与は避けて下さい。水産用OTC20%「バイオ」NCの投与は、1日1回です。
  5. *本薬剤の使用禁止期間:食用に供するために水揚げする前30日間